
01月11日
だいたい私は映画を観ていて、車がひっくり返ったりしてくれると嬉しい、という、映画ファンとしては最も頭の悪いタイプに属している。
ミステリ映画を観るようになったのは西部劇と同様、師匠の高井研一郎先生の影響だ。
この「奥さまは名探偵」は、アガサ・クリスティーの「おしどり探偵」シリーズの一編を、(解説によれば)舞台を現代のフランスに移し、原作に忠実に映画化した、とある。
そもそもスカパーの「シネフィル・イマジカ」でのオンエアというところですでに少し不安だったのだが、観てみたら、やっぱり、というか、不安が的中してしまった。
もしかしたらフランス人って、ミステリを作るのに向いていないのでは?
いまさらクリスティーをやろうというだけあって、さすがにポイントは押さえてある。
しかしポイント以外の部分がほとんど駄目だ。
そもそも何が事件なのか、事件が起きているのかどうかさえはっきりしない。
事件の起こらないミステリなんて看板に偽りありだろう。観客にはいったい主人公が何を追いかけているのかさっぱりわからない。
唯一の救いは主人公のこの「奥さま」が、娘どころか孫がいる年齢であるにもかかわらず、大変に美人で頭もよく、好奇心旺盛で行動力を持ち合わせた非常に魅力的な人物として描かれていることか。
ここがいかにもクリスティーらしいポイントだ。
ミス・マープルもクリスティー自身の投影ならば、この「奥さま」もまたクリスティーの一部なのだろう。
肝心の主人公のキャラが立っているのだから、この映画は他の何かを間違えたのだ。
多分、「原作に忠実に」というあたりがいけなかったのだろう。映画に向くようにシナリオを再構成するべきだったのだ。
それにしても、田舎の寒村といい、過去の連続殺人、謎を秘めた館とか意味深な絵画とか、フランス人もこういうの好きなんですねえ。
「犬神家の一族」なんて、第一次大戦直後のヨーロッパを舞台にして移し替えたら、うけるんじゃないだろか。
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