
01月12日
1930年代〜50年代にかけて、ハリウッドでは海賊映画は西部劇と並ぶ娯楽映画の定番ジャンルで、数多くの作品が製作されていたという。
それが60年代に入って観客の好みが変化すると、制作費が掛かる海賊物は次第に製作本数が減少し、70年代、80年代にはほぼ絶滅に近い状況となった。
90年代に入って「爆発レニー」ことレニー・ハーリン監督が海賊映画の復権をかけて大予算で「カットスロート・アイランド」を作るが、これが制作会社が傾いてしまうほどの大不振で、これによって誰もが、海賊映画は息の根を止められた、と思っていた。
しかるに、「パイレーツ・オブ・カリビアン」である。
これのヒットで、一番悔しい思いをしたのはやっぱりハーリン先生だろう。
「なんでやねん。なんでワシにでけへんかったことが、ディズニーにできんねん。ワシのどこが間違っていたちゅうねん。」
ハーリン先生の間違いは第一に自分のカミさんを主演女優に据えたことだけど、ま、それは置いといて。
では「パイレーツ・オブ・カリビアン」は海賊映画なのか。
主人公ジャック・スパロウは海賊だが、作品内では海賊行為を行っていない。「007シリーズ」が、「スパイの」映画だが「スパイ映画」ではないのと同様だ。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」の本質は、敵側のキャラクターを観れば分かる。
人外だ。超自然の存在だ。つまりファンタジーだ。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズは海賊映画ではなく、本質的には「ハリー・ポッター」や「ロード・オブ・ザ・リング」に近い、世界的に売れ線のファンタジー映画である。
しかも、少年が主人公である「ハリー・ポッター」や、世界が危機に直面する「ロード・オブ・ザ・リング」が宿命的に持たざるを得ない「説教臭さ」を、職業犯罪者を主人公にすることで綺麗に取り払い、純粋な娯楽冒険活劇に徹する事が出来た。
当たって当然である。
やるな、ブラッカイマー。見事な商売人だ。
できれば「パール・ハーバー」の時も、あの素材があの切り口で、面白い映画になるかどうか考えてから作って欲しかった。